1コーナー
全日本モトクロス第7戦中国大会。5月の大会で小島太久摩選手他が巻き込まれた大きなクラッシュがあったからなのか、1コーナー立ち上がりのレイアウトを変更したり、土曜日にはスタート1コーナーのイン側を狭めたりという対策が取られていた。
1コーナーを狭める対策は、日曜日の朝のブリーフィングで「選手会からの再要望で取り止める」と報告があり、代わってブルが待機して毎回整地するという措置が取られることになった。主催者としては少しでもいいコンディションでという努力だし、配慮だったのだと思う。にも関わらずクラッシュは何度も起きた。
これって、世界の流れを考えると、まるで逆行してるんじゃないかと思いました。
HYPER MXINGに書きましたが、少なくとも世界選手では、スタートから1コーナー立ち上がりまでは、入念に深く掘り返す…のが基本となっている。ブルドーザーやショベルカーではなく、大型トラクターと専用のレーキを使ってとにかく深く深く掘り返す。
結果、どんなにアクセルオンしてもスピードは乗り難くなる。つまり速度を抑えることが出来る。一方でトラクションが増す分、ライダーはアクセルを開け続けながらコーナーに進入することになる。これは見る側からすると迫力満点で見応えがある。全日本の1コーナーはブレーキングが基本。全員が一斉にアクセルを戻すから1コーナーではエンジン音が消える。方やヨーロッパではシフトダウンして更にエンジンの回転が上がるから、ベタッと寝かしてブワーッと立ち上がる。これは写真撮っててもすごくカッコいいし感動する。全日本ではライダーは前乗りになり、マシンも起きて、いわゆる突っ立った状態になり、あまりカッコがいいとは言えない。むしろカッコ悪いし迫力に欠ける。
大事なのがカッコじゃなくてより安全であるとういことはもちろんだ。でも、どっちがより安全で観客にアピールするか、言うまでもない。
世界選手権やネイションズを経験した全日本のライダーたちは、皆一様に「コーナースピードが違い過ぎる」と口にする。そりゃそうだ。ブレーキング合戦となるコーナリングと、どこまでアクセルを開け続けられるかでポジションが変わるコーナリング、つまりどっちが早く止まれるかを競う走りとどっちが速く回れるかを競う走りじゃ、後者の方が速いに決まってる。
海外のレースと全日本の両方を見てきたあるサスペンションメーカーのエンジニアさんがこう言っていた。「ヨーロッパのライダーはハイスピードでの最終の動きを重要視するんです。でも日本人はブレーキング時の初期の動きに神経質になる。」それも日本のモトクロスと世界のモトクロスの差がどんどん大きくなっていることと無関係ではないと思う。
次のSUGOは、グランプリ開催以降、コース全周にレーキを入れることにこだわってきたコースだ。WMXのトップライダーが二人参戦するので、コーナリングの違いについて観察してみたら面白いと思う。全日本のライダーだって、頑張ってアクセルを開け続けるハズだ。全日本の運営に関わるスタッフ(競技監督さん?)は、スタート毎に起きるクラッシュと救護の出動回数もカウントすべきだと思う。