19 JMX Rd.2 KANTO
ライダーのみならず関係者、スタッフ、ファン…。様々な思いが凝縮された関東大会だったと思う。二日間の取材で撮影した写真を見返すと、何人かのライダーが、3月にこのコースで亡くなった齋藤 馴君の追悼ステッカーを貼っていた。IA2クラスで総合優勝を飾った横山遙希選手もその一人だ。大会式典の前には黙祷が捧げられた。国内最高峰クラスIA1のヒート1では小方、星野優位、深谷。ヒート2は成田、小方、星野優位と地元の名門チームだったモトロマン出身のライダーが表彰台を独占した。故佐藤健二さんも五月晴れの空の上で、さぞ気分が良かっただろうと思う。
そのIAヒート2では、タイトルを争うディフェンディングチャンピオン成田とタイトル奪還をめざす山本の明暗が分かれた。レースは成田を先頭に2番手に小方、そのすぐ後ろに山本が付け、誰がどこで仕掛けるのか正に手に汗を握る展開が続いていた。第1ヒートを制した小方にしてみれば、2位でも総合は確実。次に控える広島は小方が最も得意とするコースで、無理をする状況ではなかったのかも知れない。無理が出来ないのは、昨シーズン最終戦での肩の脱臼、前週には事前練習で右手小指を脱臼するなど、万全の体調とはほど遠い山本も同じだった。しかし、エースの座をかけた成田と山本には、お互い絶対に譲れない意地がある。果たして、満を持すように仕掛けたのは山本だった。大勢の観客が見守ったラスト2周の激しい攻防。小方、成田を一気に抜き去った山本が逆転勝利を手にするかと思われたラスト1周。成田が山本のインに割って入り山本が押し出されるように転倒。39歳初勝利を上げた成田に続き小方、星野優位が繰り上がって2-3位の表彰台を獲得した。なんとか再スタートした山本は4位。ポイントランキングはわずか1ポイント差で成田がトップに浮上した。
第1ヒートの最後に小島庸平をパスし、すぐ後ろを走っていた山本との間に1台を挟んだ成田。それがなければ、あるいは山本の転倒がなければ、レッドプレートは山本がキープ出来ていたハズだ。成田の凄まじいまでの執念と勝負強さが印象に残った大会だった。